ローカル余白

鈍行列車でゆく、週末のスロー旅

田中 佳一🗓 2024年9月7日

移動を急がないと、景色が会話になる。風の匂いが変わるたび、気分もすこしずつゆるむ。

週末のローカル線は、思ったより混んでいない。指定席もないから、好きな場所に腰かけ、窓の開く席を選ぶ。海沿いに出れば、潮の匂いが車内に流れ込んでくる。

持ち物は少なめに。文庫本、ペットボトルに入れた麦茶、小さなバターサンド。手をふさがない荷物だと、途中下車のハードルも下がる。

駅に着いたら、地元の商店街を歩く。観光地ではなく、日常が続く場所で手土産を探す。旅の記憶は、帰宅後に使えるものに宿る。

夜は安い宿で十分。部屋の明るさと寝具の清潔さだけ確認する。眠る前に今日のメモを読み返し、翌朝に行きたい喫茶店を調べる。少しの計画と、大きな余白がちょうどいい。

NEXT STORIES

つづけて読みたい記事

/ 2025年12月1日

【深層分析】国分太一氏「慢心」謝罪の裏側:日テレの自己保身と、組織的な隠蔽工作に潜む刑事リスク

記事を読む

暮らし / 2024年11月2日

朝の静けさで整える、開発者のルーティン

湯気の立つほうじ茶、木漏れ日のデスク。京都の町家で続けている「余白を作る」朝習慣と、集中を深める3つの儀式。

記事を読む